東大法学部卒、有名銀行の出世コースを走り、定年前に子会社に出向し、そして、定年。
資産1億3000万円、妻は、美容師。
「日本国内で、これほど、恵まれた人はないだろう。」という人が主人公。
しかし、彼は、定年の翌日から、することがない。
ほしいのは仕事。しかし、彼が望むような仕事はない。
仕事一筋で会った彼は、友人もいなければ、趣味もない。
どのように、毎日を過ごすかが、大きな問題となる。
自分は、老人ではないと思っている。
この本を読んで、前半は、腹が立ってきた。
世の中、どんなにがんばってもみても、女性が一度結婚のために仕事を辞めれば、結婚前に持っていた仕事の条件と同じところに就職できない。
条件が悪くても、自分の与えられた立場で大半の人が、与えられた仕事をして、日々の糧を得ている。
小説の中の話だが、子会社に主人公が、転籍したとき、次の生き方を探すべきであろう。
なんとか挫折せずに、主人公が、IT会社の社長になるところまで、読み終えた。
ここから先は、お話である。
現実では、ありえない。
それでも、小説としては、どんでんがえしがあり本当に、面白い。
後半部になって、一気読みをしてしまった。
しかし、ここからは苦い結末とこれからの生き方を示唆する希望が示されるのが救いで
ある。
主人公は、故郷へ帰って、親の面倒を見るし、故郷再生に手をかす。
現実社会で地方再生が、これほど活発に行われているのであろうか。
疑問は残ったが、小説としては、十分楽しめた。