人生は80から

人生100才時代。健康に豊かに楽しく過ごすには

三浦しをん著「仏果を得ず」を読んで、

三浦しをん氏の小説は、「船を編む」「風が強く吹いている」に続いて、3冊目。

どれも、自分にやるべきことに愚直に、立ち向かう主人公に引き込まれる。

 

この話は、高校の修学旅行で、文楽を鑑賞して,その虜になった笹本健太夫の話。

高校卒業後、研修所を終え、人間国宝の銀大夫に弟子入りして、いつも頭を扇子でこづかれながら、文楽の場面や登場人物の言葉を語る大夫になろうと、頑張る話。

 

師匠に、兎一郎という三味線方と組むように言われるが、彼は、腕はいいが変人。

最初は、思いのままに、もてあそばれるが、協力してくれるようになり、芸の力を高めてゆくのを助けてくれる。

 

各章の名前が、有名な文楽の演目となっており、各章を演じる側からの解釈、それが、演者の側から書かれていて、いつの間にか引き込まれてしまう。

 

「仏果を得ず」という言葉は、「成仏せず」という意味で、演目の「仮名手本忠臣蔵」からとられている。切腹した勘平に原郷右衛門が、「成仏せよ。」というのにたいして、「死なぬ、死なぬ、魂ぱくは、にとどまって、敵討ちの供をす。」というセリフから来ている。

 

人間国宝になるような太夫は、まず長生きすること、しかし、それだけではない。毎日、演目ごとの登場人物の心を理解し、物語の中に観客を招き入れる技量が必要だ。」

これが、作者が、読者に伝えたことであろう。

ここまで、来ると、もう一度、最初から、読み返したくなる話だ。

最初にちりばめられた伏線をもう一度確かめたくなる。

 

私は、大阪に50年近く住んで一度だけ文楽を見ている。

手引書を読んで、演目が「何で、この話が名作のか」と首をひねっていたのが、演じられて、大きな感動に包まれたことを覚えている。

演じる側の愚直な努力のたまものだとあらためて思った。

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ビオラ