私たちは、小、中、高校で、日本史、世界史をそれぞれ別に習っている。
しかしこの本は、安土、桃山時代の世界の動きと日本史を融合した本であった。
ヨーロッパで、宗教改革の嵐が吹き荒れて、プロテスタントが、勢い増した時代、宣教師は、インドへ向かいさらに、フィリピンから、日本へやってきた。
宣教師の目的は崇高なキリスト経の伝道だけでなく、イエズス会や、その資金を提供したスペイン王室は、日本の植民地化が目的であった。
1549年日本にキリスト経が伝来する。
そして、「1540年代に種子島に漂着した船につまれていた船から、日本に鉄砲が伝来した」と習った。
全く、「別の伝来である」と理解していたように思う。
しかし、そのころの火縄銃であるから、火薬が必要である。
鉄砲の方は、国産化ができたが、火薬の原料の一種、硝石は日本で生産できない。
時は戦国時代。
堺の商人が、輸入の窓口になった。
織田信長が、日本をほとんど統一できたのも、鉄砲の威力によるものであろう。
そして、信長が、日本の権力者であることが、日本の植民地化の邪魔になると考えたイエズス会の手のものにより、本能寺の変が起きる。
そして、次に秀吉が、登場する。
そのころ、有力は大名は、ほとんどが、キリスト教徒になっていた。
「茶の湯は、キリスト教のミサから発展したものである」と作者は言う。
「千利休が、最後切腹を命じられたのは、秀吉の毒殺に関係したもの」との作者の主張である。
秀吉や家康がキリスト教を最後禁止したのが、イエズス会の植民化政策に気が付いて、危機を感じたからであろう。
ヨーロッパも時代が代わり、勢力が強いのはスペインからイギリス、オランダになる。
家康の顧問になったのは、イギリス人のヤン・ヨーステンと三浦按針である。
そして、硝石の輸入を家康は、独占したくて、鎖国に踏み切った。
面白かった。
世界の中の日本という視点から眺めると、よくも無事にスペインの植民地にならなくて済んだものである。
「この本は、資料が、完全でないから、小説である。」というレビューが、Amazon
にはある。
しかし、詳細は正確でないところもあるかもしれないが、キリスト教の宣教師は、キリスト教伝道とともに、我が国ばかりでなく、世界の国々を植民地化を目指し、わが国も例外でなかったと思う。